花咲く丘に♪

アルツハイマー型認知症の父と介護する母が気がかりな、娘のharuがつづります。笑顔で^^

北海道旅行! ~2日目その1~

予定は予定にしか過ぎない日でした。

 

 

2日目の予定

8月18日(日)

函館 10:40発----------13:58着 札幌 

     スーパー北斗7号

札幌 泊

 

 

朝起きて部屋のカーテンを開けたら前日と変わらずどんよりとした曇り空です。

函館競馬場の厩舎から馬が出ていくのが見えました。

写真は馬が厩舎に戻った後です^^;

 

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前日8月17日未明に起きた函館本線脱線事故(http://news.goo.ne.jp/article/yomiuri/nation/20130817-567-OYT1T00937.html)

の影響で、特急がダイヤ通りに走らないことは前日のうちにわかっていました。

 

前日撮った↓

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 早めにホテルを出て列車があるなら乗り、なければバスで札幌で向かおうと。

列車でも、事故の復旧をしている森~八雲館は代行バスになります。

 

 ホテルでバイキングの朝食を済ませ、タクシーで駅に向かいました。

強い雨が降っています。

  

駅に着いたのは9時20分ごろ。

なんと、9時30分発の札幌行きの臨時特急があります!ラッキーです♪

電車なら早めに着けて親戚に会う時間ができる。

 (後から知ったのですが、前日のうちに臨時特急の出る時間はわかっていたようです。)

 

 私は小走りで先に、両親はいつものペースでホームに向かい特急に乗り込みました。

席はすべて自由席で、ほぼ満席。

グリーン車両に空席を見つけました。3号車だったと思います。

   

 

外は大粒の強い雨。

とにかくよく降ります。

途中何事も起こりませんように。

 

 

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 願いもむなしく、森駅到着まで数分のところで列車が急停止。

 

 

外には濁流!

  

 

 

 

 

 

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  「線路に土砂流入のため緊急停止いたしました」と車内アナウンス。

この車両は土砂の上に止まったんだ。

よく脱線しなかったな…

 

 「土砂を取り除く作業をしています」とも。

   

車内は静かです。

父を不安にさせたくなくてできるだけ笑顔をつくるけど、内心はとても平穏ではいられない…

 

 緊急停止した理由を何度も車内アナウンスで流しています。

決して流暢でなく、ときにつっかえながら。

   

私たちの席は進行方向の右側。

進行方向の出入り口から客室を出て左側にある乗降口の扉の窓から下を見ると、

泥水が勢いよく流れています。

もう、川です。

恐怖。

見てはいけないものを見てしまった気がしました。

  

オレンジジュースが出されました。

冷たくて、糖分のあるものがありがたい。

万一の場合に備えてと思いしっかり飲みました。

父はトイレが近くなるのを気にして少ししか飲みません。

飲んでおいてほしい。

  

 この席に座ったままで大丈夫なのか?

  心なしか進行方向左側が下がってきている気がします。

この車両を出て土砂の流れていない前後の車両に移ったほうがいいのではないか。

  

母と車両の屋根の上に上って避難する可能性もあるのかな、と話す。

父は早く対応しろなどと言っているけれど落ち着いている。

避難することがあるなら高齢の両親の体力を少しでも温存できるよう着られるものは着せて…

などと考えてしまう。

 

 

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保線作業の人が濁流の上流へ様子を見に行ってきたようです。

流されないように…。

  

 

  (土砂が流れている動画) http://youtu.be/Bc1RK-9KI4g

 

 

  この列車動かせないよね…

 

 

 列車が止まって1時間経ったでしょうか。

「森駅から迎えの車両を出すことを検討中」との車内アナウンス。

もうすぐここから脱出できるかも!

  

 

 ほっとしたのも束の間で、しばらくして別内容の車内アナウンス。

「車両下のレール下の土が雨水で流れてえぐられていることから、車両から緊急避難することが決まりました。線路の上を歩いて避難していただきます。2km先に避難所を用意しました」

  

 なんだこの急展開。

これだけ書くのが精いっぱいでした。

 

 

外はどしゃ降りです。

夏の温かい雨とはいえ、体が濡れたら両親は、特に父は体力が持つのか。

  

 線路には大きな砕石が敷かれています。

足場が悪いところを父は2km歩けるのか。

1時間はかかるな。

  

  やれるだけやるしかありません。

   

(ここから先写真も動画もありません。とてもじゃありませんが親のことが気になって撮っていられませんでした)

  

 キャリーバッグは大きくて重くて両親は持って歩けない。

私は雨に濡れるのは構わないけれど、自分のと合わせて2つ持つと重いしバランス悪いし何かあったら両親をフォローできない。

 

 両親のキャリーバッグは車内に置いていくことを決めて、荷物を私のキャリーバッグに詰めかえました。

かなり重いけど一つならなんとかなるっしょ。

 

 席を外していた母が戻ってきて、私だけ重いのはかわいそうだと父と母の荷物を母が持っていたナイロンのエコバッグに詰め替え直し。

なんかすみません。

  

置いていくバッグには私のキャリーバッグに付けていたネームタグを入れておきました。

いつか戻ってくることを願って。

  

体温を奪われないように、濡れてしまうけれど父は薄手のジャンパー、母と私もそれぞれ夏物のジャケットを着ました。

母は帽子を持っていたので被るよう勧めました。

父も帽子を持ってきていたのだけど、前日にタクシーの中に忘れてきていました。

 

 避難は最後尾の車両から順番に行われました。

進行方向の逆からです。

私たちの車両の順が来て、いよいよ避難です。

 

 海外からの旅行者と思われる方が大きなスーツケースを抱えて、大変そう…

  

端の車両の乗降口には階段状の鉄製の避難はしごがかけられています。

降りるときに外のはしごの左側にいる乗務員の方がキャリーバッグを一時持ってくれました。

父もゆっくりはしごを降り、母も降りました。

  

線路を歩くのは私、父、母の順。

どしゃ降りですが風はなく、父と母は傘を差せます。

  

私はキャリーバッグを砕石の上で引いて歩けるわけもなく、片腕で持っていくのもかなり疲れそうなので、キャリーバッグを頭の上に載せて両手で支えました。

これがとても楽で。

避難場所まで行ける自信が持てます。

  

 

母は斜め掛けショルダーバッグと荷物で膨れたエコバッグを持ち、私のリュック型にもなるバッグを背負ってくれました。

父は斜め掛けのしっかりしたショルダーバッグ。

  

 線路の中央を歩くのは砕石で足場が悪すぎてすぐにあきらめました。

コンクリート製の枕木のレールから外側を一つひとつ歩きます。

私はときどき振り向いて父と母を確認しながら。

 

 両親が「戦時中を思い出す」と。

  

1kmくらいまではなんとか順調だったでしょうか。

JRの人が通りかかりました。

この先にある踏切のところで避難場所に向かうバスが待機しているらしい。

これを聞くまでは、避難場所というのはどこかの広場にテントでも張ってあるのかと思っていました。

  

 

父の歩みが遅れ始めます。

名前を呼ばれて振り向くと距離が開いています。

何歩か戻って、歩くスピードを落として。

  

後続の人にだんだん抜かれていきます。

  

母が後続の人に、「体が悪いのでお先に行ってください」と声をかけます。

何度も。

  

途中、父のことを気遣って声を掛けてくださる方がいらっしゃいました。

  

父がバランスを失って大きくよろけたときに、休み休みがいいですよ、助言してくださる男性がいて、線路際に座って休むことにしました。

一緒に座って休んでくれた女性がいました。

ありがとうございます。

  

 

父が再びゆっくり歩き始めました。

父の歩調に合わせて、ゆっくり、ゆっくり、枕木を一つひとつ踏んでいきます。

  

枕木の上にたまに転がっている砕石は父が歩くのに邪魔だから足先を使って落とします。

父が「上手だな」と言いました。

  

傘を差していても頭以外はずぶ濡れになるほどの雨。

頭の上にバッグを載せていた私はもちろんずぶ濡れですが、頭の上のほうは濡れることはありませんでした。

 そう考えると気持ちが少し楽です。

  

父は認知症だけでなく心臓がよくないし、緑内障もあります。

雨の中枕木を一つひとつ見つけて歩いていくのは並大抵のことではなかったでしょう。

  

斜め掛けショルダーバッグのつくりが堅めで重さもわりにあり、肩と胸に食い込むのがつらかった様子。

  

父のショルダーバッグを母が肩にかけることにし、母が背負っていた私のバッグを自分で背負いました。

自分のは初めからこうすればよかったのに。

  

私が背負い直したバッグは雨でびしょ濡れでした。

  

 

作業服風の男性に「大丈夫ですか」と声を掛けられました。

思わず父のことをさして「具合悪いんですよ!」と声を荒げてしまいました。

消防の方でした。きつい言い方をしてすみません。

  

「具合悪いんでしたら担架を持ってきます!」と言ってくださいましたが、

残り500mと聞いて父は「歩きます」と言いました。

  

すぐ近くに高齢の女性が歩いていて、「その方を先に」と。

その女性も担架は使わなかったようです…

  

ここからが長く感じました。

  

 

母は足取りがしっかりしていました。

私よりも足元がふらつくことがなかったのではないでしょうか。

  

でもこの上なく心配している表情。

父にとってはまさにサバイバルです。

  

残り300mほど。

一度私たちの後ろのほうに行った2人組の消防の方たちがしばらくして戻ってきました。

 母が「心臓が悪いんです」と引き止めました。

父は声も出しません。